またまた観光客によるドローンのトラブルが発生してしまいました。
今回の事件の舞台となったのは世界的に有名なインドの世界遺産タージマハル。
この写真は見たことがない人はほとんどいないと言っていいほど有名ではないでしょうか。
事件の概要
事件は2016年11月11日(金)午後2時頃に発生。
タージマハル周辺を白い機体のドローンが2回に渡って目撃されたことから現地警察と中央産業保安部隊(CISF:Central Industrial Security Force)による合同調査がスタート。
数時間後に近くのホテルにてドローンを飛ばす準備をしていたアメリカ人観光客を発見。
この男性観光客は警察に身柄を勾留され近くの警察署に連行されることとなりました。
事件の発表によるとタージマハルは高セキュリティ区域であり、敷地内部はもとより周辺でのドローンをはじめとするいかなる飛行物体の飛行は禁じられているとしています。
ちなみにタージマハルの近くだけでなくインド全域がドローン禁止です。念のため。
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現地警察の発表によるとこの事件は首都デリーに位置する在インドアメリカ大使館にも報告されたとのことです。
ドローンは規制だけではない。その場の背景に即した良心的行動も必要。
行ったことのある方はご存知かもしれませんが、タージマハルはムガール帝国時代の皇帝が亡くなった妃のために建てた霊廟です。(お墓ですね。)
と聞けば大抵の人が、あっ神聖な場所、特別な場所なんだと理解されるのではないでしょうか。
そしてこうした特別な場所というのは通常”制限”が加えられていることが一般的です。
皆さんも日本や海外の観光地や施設を訪問した際に写真撮影禁止だったり、サンダル短パンでの訪問が禁じられていたりするのを体験された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こうした”特別な場所”では場の雰囲気を保つためだったり、対象物を保護するためだったり、それこそ宗教上の理由から特定の行動が制限されていたりと、それなりに訪問者側に敬意を払うことが求められます。
加えて今回の事件の舞台となったのは、死者を祀るための霊廟です。
感覚的な表現になってしまいますが、こうした場所で空を飛ぶ物体を操り(しかもそれなりに騒音も発する)自由に撮影するというのは良心的にもあまり好ましくありません。
自分のご先祖様のお墓の上をぶんぶんとドローンが飛び回って、かつカシャカシャとカメラ撮影している様子を想像してみてください。
(もちろん人にも程度にもよりますが、)良心が咎めるというか、そんな気持ちになりませんか?
何を言いたいのかというと、ドローンを飛ばす時ってその場所の法律や規制だけではなく、その場所の背景だったり事情に即した良心の判断もとても重要だと思うんです。
法規制の知識と良心を使い分けることができれば、こうしたドローンのトラブルも未然に防ぐことができるのではとこうしたニュースを見聞きするたびに感じています。
今回の事件の観光客がタージマハルを霊廟と知っていたのかは定かではありません。
ですが仮に知らなかった場合、もし事前に調べるなどして場所の文脈を把握していれば、飛行を踏みとどまった可能性もゼロではありません。
以前以下の関連記事も書いているので読者の方は御馴染みかもしれませんが世界遺産を始め著名な遺跡や文化遺跡、自然遺産は環境保護の観点からドローン飛行が禁止されているところが多いです。
ですが、ドローンパイロットとしては仮に規制がなかった場合でもその場の背景や事情を鑑みて飛行の判断ができるようになるべきですし、そういうパイロットが増えることを願ってやみません。
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