衝撃的でしたね。
GoProが2016年11月9日に発表したKarmaの全件リコール。
伝えられるところによれば、飛行中に電源が喪失し墜落の可能性があるとのこと。Karmaは10月19日の発売からすでに16日が経過(発表日時点)しており、GoProでは販売済みのKarmaの払い戻し対応をしています。(修理ではない。)また当然のことながら現在販売も中断されており、この現象の原因が解明、対応完了次第販売を再開するとしています。
GoPro KarmaのWebsiteでは”Coming soon”のステータスとなっています。
Youtube上には数多くのKarma謎の墜落動画が?
実はこのリコールの発表の以前からYoutubeにはKarmaの謎の墜落の様子を納めた動画がいくつか投稿されていました。
これらがきっかけとなってリコールに踏み切ったという声も少なくありません。
以下の動画では2:06あたりで突然落下を始めるKarmaの様子が収められています。それまでは至って正常に飛行しているように見えているにも関わらず何とも不気味です。
パイロットも何が起こったのかまったくわからないといった様子です。
下の動画も最初の動画同様、急に力を失ったかのように落下を始める姿が収められています。(23秒目あたり)
株価から見る近年のGoProの業績
Karma発表のずっと前からGoProは業績低迷に苦しんでいました。
下記はGoProの株価の推移ですが、2014年に上場後最高値である80ドル台の値段を付けてから株価は下降を継続。
GoProが初のドローンKarmaをリリースするという噂が出たときから、Karmaはその救世主として社内外から期待されていたのです。
ですが、Karma発表のわずか数日後ドローン界の巨人DJIからMavic Proが発表。
Karma発表後に上昇に転じた株価もMavic発表と同時に再度下降を始めます。(下図はGoPro株価にKarmaとMavicの発表日を示したもの)
そしてここに追い打ちをかけるがごとく、今回のリコール。
期待の新製品であっただけにとても残念なものですが、単に不運続きなだけでなくGoProという一企業にとって正念場といえる状況にあるのです。
業績低迷が続くGoPro。その未来は明るいか?
リコールが発表されるわずか数日前の11月4日、GoProは第3四半期の決算を発表。
これによるとGoProの第三四半期の売上は前期から40%も急減。ちなみにこの決算結果にはKarmaとKarmaと同時に発表されたHeroの最新シリーズは含まれていません。
このような事情も鑑みてか、CEOのNick Woodmanは決算発表の場で、時期決算ではKarmaとHero新機種のおかげで業績回復が見込まれると強気のコメントを発表。
KarmaがGoProにとっての真の救世主となり得るかどうかが期待された矢先のリコールだったのです。
さて、これらの状況を踏まえてGoProの将来を考えてみたいのですが、残念ながら今回のリコール問題により時期第4四半期決算の結果も厳しいものになるといわざるを得ないでしょう。少なくともKarmaが業績改善に寄与する可能性は少なそうです。
ぼくが初めてKarmaのティザー動画を見たとき、その小ささに大きな期待を持ちました。車の下をすり抜けたり、図書館の本棚の間を通り抜ける動画から予想される今までにない小さいサイズの高性能ドローン。
実際に発表されたKarmaは確かにDJI Phantomや3DR Soloなどの既存の主要ドローンと比較すると小さいものではありましたが、相手が手強すぎました。
Karma発表のそのわずか数日後にDJIから発表されたMavic。
Karmaよりも一回りも二回りも小さいそのサイズに市場はどよめきました。そして一気にKarmaへの魅力がぼくの中で小さくなっていくのを感じたのも事実です。
Mavicがなかったらこのサイズのドローンは魅力的だったと思うのですが、MavicがKarmaよりずっと小さいということがわかった今、Karmaに正直サイズでのメリットはありません。
まだまだ大きいのです。専用ケースも含めて。
そしてメイン商品であるアクションカメラという位置づけも競合製品が多数出揃っている今、競争はかなり厳しいと言えます。同じような性能を持ったアクションカメラは低価格で他社から販売されています。
それにGoProのアクションカメラHeroシリーズについてもそこまで性能が変わっているわけではありません。正直「一つ持ってれば十分でしょ。」という域を抜け出せていないのがぼくの感覚です。
アクションカメラって、それほど使い道ないと思うんです。
威力を発揮するのは、エクストリームスポーツでの迫力のある絵を撮るときだと思うのですが、日常でどれだけどのような機会があるかどうか。
ということでアクションカメラもGoProの行く末に明るい未来をもたらすとは言えません。
ではどうすべきなのか?
実はぼくは以前こんな記事を書いています。
参考記事
GoProの新しいドローンKarmaについての3つの噂期待は”アクション”カメラならではの機能
もともとGoProは創業者ニック・ウッドマンがサーファーで、自身のサーフィン姿を撮るために独自のカメラを開発したことが発端です。その頑丈なつくりとコンパクトな形状からサーフィンをはじめスカイダイビング、自転車レースなど数多くの趣味、スポーツで使用され、アクションカメラとしての地位を築いたという歴史があります。
だからこそ、このアクションカメラとしての強みを全面に出した新しいドローンを世に送り出して欲しいのです。例えばぼくが思い描くのはアクションドローンとしての宙返り。GoProを取り付けたKarmaが空中で360度宙返り(360°Eversion)しながらも安定した飛行をすることができれば、今までにない空撮動画を撮ることができ、まったく新しい動画体験をユーザに提供することができるでしょう。
この後半の部分こそがGoProがドローンに参入する際にぼくが期待していたことでした。
その出自をアクションカメラに持つGoProだからこそ持つべき特徴。それがアクロバティックな動きを強みとするさまざまなダイナミックな動きを取れるアクションドローン。
Karma復活とともに、GoProが新しいドローン像をドローン業界に示してくれることを期待し続けたいと思います。
コメントを残す