DJIがPhantomXという名のコンセプトモデルの映像を公開しているのをご存知でしょうか?
当ウェブサイトでも1年以上も前に一度このコンセプトモデルを紹介しているのですが、DJIのドローンを長らく使っている方でもこのモデルの存在を知らない人が多いので、記事のリライトの意味も含めて取り上げたいと思います。
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PhantomXは2015年11月にDJIがYoutube上にその映像を公開したコンセプトドローン。
当時はPhantom3が発売されてからちょうど半年くらいが経った頃でした。
外観はPhantomシリーズの機体から脚を無くしたような円盤型をしています。
このドローンが樹々の間を縫うように飛び回りながら、
自転車に乗っている人物を追尾する光景が映し出されます。
画面は切り替わり、草地の上に立つ2人の男性と女性。
女性がブーメランを放り投げるように、PhantomXを宙に投げ出すと、
PhantomXは空中で自動的にバランスをとりホバリング状態になります。
そしてPhantomXの極めつけの機能がこちら。
女性が宙に浮いているドローンに対して両手をかざしたかと思うと、そのまま宙に弧を描くように両手を動かします。
するとPhantomXも女性が描いた軌道に沿うようにして飛行するのです。
スカイペインティングと呼ばれるこの機能により、操縦者はリモートコントローラーに頼ることなく、ドローンを思いのままに操ることができるのです。
さて、ここまでを振り返ってみましょう。
1.被写体となる自転車を自動追尾するドローン
2.ブーメランを放り投げるようするだけで自律飛行を始めるドローン
3.人が空に描いた軌跡をドローンがなぞって飛行するスカイペインティング
の3つがPhantomXの特徴でした。
何かピンと来ませんか?
1はもうすでに実現されていますよね?
DJI Phantom4やMavic Proに備わっているアクティブトラッキング機能がまさにこのアイデアを具現化したものです。
2はどうでしょうか?
実はこれに近いアイデアがつい先日発表されたばかりです。
昨日5月24日に発表されたDJIの新しい小型ドローンSpark。
同社の今までのドローンのようにリモコンを使って操作しなくとも、手のひらにドローンを乗せた状態でスイッチを入れれば自動で手のひらから離陸し、ホバリングするクイックスタートという新しい機能が搭載されたのです。
ブーメランを投げるように飛行させることはできませんが、ドローンが自らホバリング体制に移行するという点では共通しています。
そして3つ目のスカイペインティング。
昨日発表されたSparkではジェスチャー機能が搭載され、人間がドローンに対して手をかざしてそれを動かすことでドローンをコントロールすることができるようになったのです。

ジェスチャー機能はドローンを動かすことだけに留まりません。
下の写真のように手でカメラのフレームのような枠を作ることで、Sparkに写真を撮ってもらうこともできるのです。
ドローンが人の仕草を見て(認知)、それを命令と受け取って(判断)、行動を起こす(操作)ことができるようになったのです。
PhantomXのスカイペインティングの機能を構造化してみると、
・人が宙に模様を描いたということを認識し(ドローンによる人の動作の認知)
・人が描いた軌跡を記憶し、飛行ルートとして捉え(飛行ルートとして命令を判断)
・描いた軌跡に沿って飛行(飛行の自律性)
というように分解できます。
これはSparkに備わった認知・判断・操作の機能と本質的には同じです。
つまり2015年11月に発表されたアイデアが、その実現レベルには未だ差があるとはいえ、たったの1年半の後に基本的な概念レベルでは実現されてしまっているのです。
PhantomXのアイデアがここまで実現できてしまった今、次に期待できるのは何でしょうか?
・空中にドローンを放り投げるだけで飛行を始める自律的離陸機能の実現
・スカイペインティング機能の完全なる実現
PhantomXの映像に描かれた未来図が実現する時はすぐ近くまで来ているのでしょう。
そしてそれが実現されるのが、時期PhantomであるPhantom5であり、ぼく個人が下記の記事で提唱した”DJIの製品リリース6ヶ月サイクル”に基づくと遅くとも今年2017年11月である可能性は非常に高いと言えます。
もちろんそれより早くてもまったく不思議ではありませんが。
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