これはドローン業界の大きな転換点になりそうな予感です。
アメリカの連邦航空局FAAは7月8日、ホビー用途ドローンの登録を行った利用者に対してその登録料の返還を行う措置を決定した旨発表しました。
この記事では背景を含めてポイントをかいつまんでご説明しましょう。
そもそも登録料ってなんだ?
そもそもドローンの登録料ってなんだ?という方のために背景を説明しましょう。
アメリカでは2015年に機体重量が0.55ポンド(およそ0.24Kg)を超える全てのドローンは、レクリエーション目的(ホビー目的とも呼ばれる、いわゆる趣味として飛ばすドローン飛行)、商業飛行の区別なしに、FAA(米連邦航空局)に機体を登録することが義務づけられました。
登録はオンラインで可能であり、ドローンを購入したものは皆登録料5ドルを支払って機体の登録を行う必要があったのです。
なぜ返還することになった?
2017年5月にFAAが発表した数字によれば、これまでに米国内でドローンを登録した人数はのべ82万人にも上ります。
1人あたりの登録料が4ドルですから、単純計算して400万ドル(約4億)もの登録料がFAAに払い込まれたことになります。
これに加えて商業飛行の場合は別途FAAからのライセンス取得が必要になるため、ドローンの登録とライセンスの発行だけで相当な収入があったのは事実です。
ドローン登録義務付けの仕組みは他の国でもその採用を検討し始めたりと、アメリカFAAがドローン業界に及ぼした影響は非常に大きいものです。
ところがその矢先、今年5月にアメリカ連邦控訴裁判所がレクリエーション目的でドローンを飛行する者に対してドローンの登録を義務付ける規制が無効であるとの判断結果を示したのです。
この詳細は別途記事で紹介していますので、興味のある方はこちらを参照してください。
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【海外ドローン規制】アメリカFAA レクリエーション目的ドローン飛行の規制変更 機体の登録は不要に
この裁判所の結果を受けて、ついにFAAが登録料の返還措置に踏み切った、というわけです。
返還はどうやって申請できるの?
登録料の返還ですが、 FAA Modernization and Reform Actのセクション336の要件を満たしている必要があります。(リンクはこの文章につけています)
もし要件を満たしている場合は、 FAAのサイト上からを記入しregistration deletion and self-certification formを記入し(リンクあり)、プリントアウトしたものをFAAの事務局に提出します。
登録料は返還されることになったものの、FAAは引き続き自主的にドローンを登録することをユーザに対して呼びかけています。
当然ですよね。
何か事件、事故があった時に登録情報がなければ追跡もできないのですから。
FAAのコメントによると、裁判所の判決を受けた最終ルールは現在ドラフト中であり、先月6月にはUAVの身元証明と追跡のための航空ルール作成委員会UAS Identification and Tracking Aviation Rulemaking Committee (ARC)の第1回会合を開催。
AmazonやFord、航空コミュニティやドローン産業に関わる組織、ドローン製造会社、法律機関といったステークホルダーを集めドローンの身元証明の方法と追跡方法についての議論を行っています。
第2回会合は7月18-19日の間で開催され、9月には最終提案書にまとめることを計画しています。