カナダ政府が新しいドローン規制の導入を発表しました。
業界トップシェアを誇るドローンメーカーであるDJIが「失望した」とコメントを発表するほどの厳しい規制の内容とはどんなものなのか?
今回はその規制の内容をご紹介しましょう。
背景
新しい規制の説明に入る前にカナダがなぜこうした新しい規制に踏み切ったのかの背景を説明したいと思います。
カナダは2017年3月、各国で増加しつつある航空機とドローンのニアミス事件を懸念して、ホビー用途ドローンの規制を強化する施策を発表したのです。
それまでの飛行高度上限120メートルを90メートルに引き下げたり、自分とドローンの距離は常に500メートル以内で飛行しなければならないなど、ドローンファンのみならず多方面から厳しすぎるという批判を浴びた施策だったのです。
詳細は下記の記事をご覧ください。
<関連記事>
【海外ドローン事情】カナダ ホビー目的ドローン飛行の規制を強化!!
それが今回さらに厳しくなったということは一体どのような変更が加えられたのでしょうか?
新規制の概要
新しく発表された新規制によると、機体重量が250グラム以上のドローンを全てのパイロットは10万カナダドル(およそ840万円)が保証されるドローン保険への加入が義務付けられます。
これに加え、機体重量が250グラムから1Kgまでの極小ドローンカテゴリに属するドローン(DJI SparkやMavicが該当)はドローンの飛行に関する筆記試験が必須で課せられると共に、人から最低30.5メートル離れて飛行しなければならないことが追加されています。
さらに機体重量が25Kgまでの小ドローンカテゴリに属するドローン(Phantom4やInspireなどほとんどのドローンが含まれる)にはより厳しい制限が課せられます。
飛行する地域が都市部か地方かに応じて、人から最低76.2メートル離れて飛行しなければならないのです。
特筆すべき点はこれらの新規制は商業飛行とホビー用途飛行の区別なく定められているということ。
つまりちょっとした趣味の空撮撮影から本格的な映画撮影までドローンを使用するときは上記定められた距離を保ちながら飛行する必要があるのです。
前述のようにほとんどのドローンが属する小ドローンカテゴリでは76.2メートル以上人から離れて飛ばさなければなりませんから、狙った通りの撮影を行うのはかなり厳しくなったと言えるでしょう。
DJIの反応
この規制の発表を受けてコメントを発表したのがドローン業界の巨人DJI。
「今回の”過度に制限された”規制はドローン愛好家やドローンを学ぶ学生たちが空撮や新しいテクノロジーを体験する機会を剥奪する失望すべきものである」
とのコメントを発表。
今回のカナダの新しいドローン規制に対するコメントやフィードバックを投稿するようユーザに呼びかけています。(こちらのリンク。投稿は2017年10月13日まで受付中です。)
ドローン先進国として知られるカナダがこうした規制を発表したことを受けて、他の国でもドローン規制を強化する動きが出ることが予想されます。
中国でも最近ドローンを所有者の実名とともに登録を義務付けることが決定されています。
<関連記事>
【海外ドローン規制】中国のドローン新規制 ドローン登録義務化へ
一方のDJIも安全を損ねる飛行を予防するための対策を製品に組み込むことによって、安全対策を強化しつつあります。
しばらくの間ドローンメーカーと各国政府の規制との間の戦いが続くことが予想されます。