シンガポールの南洋理工大学がちょっと変わったアプローチでドローン研究に取り組んでいます。
ドローンの課題にあげられるポイントとして、そのサイズや飛行時間(バッテリー駆動時間)がありますが、今回紹介する研究の成果によってはこうした問題が解決されるかもしれません。
昆虫をドローンに
その研究内容とは昆虫をドローンにしてしまおうというもの。
どういう仕組みかというと、昆虫の筋肉を刺激可能なように体に電極を取り付け、電極操作版から微量な電流を流すことで昆虫の筋肉を刺激し、思いのままに昆虫を操って飛行させます。
昆虫をサイボーグ化し、ドローンに仕立て上げるということですね。


飛ばすときにはこのように昆虫を手にもって、後方から息を吹きかけます。
それが刺激となって昆虫が羽を動き始めたら手を離します。
昆虫は研究室内を飛び回り、その飛行ルートを電極によって右方向に曲げられます。
と少し右に曲がりすぎたのか、壁に衝突してしまいました。
なお、実際に衝突したのは壁ではなく飛行実験スペースを区切る紙だとのことです。そして紙と実際の研究室の壁との間には空気層があることで、昆虫が衝突してもダメージを受けないように配慮しています。

動画の中では何度か飛行するシーンが登場するものの、なかなか昆虫の飛行をコントロールするのは難しそうです。
残るは倫理的問題
この研究室では昆虫を操ってドローンにすることで、災害現場など人が入り込むことのできないスペースでの救助活動などに役立てる目的で研究を進めています。
昆虫の体に感熱センサーを取り付けて飛行させることで、人や動物が閉じ込められて動けなくなっている場所を検知するといった活用方法が期待できます。
昆虫を電極を使って操るには、昆虫の体に電流を流すケーブルを通す必要があり、加えて電流を流して筋肉を刺激する必要があります。
しかしながら、昆虫の自由を奪って人間のコントロール配下に置くというこの行為は、倫理的な問題も孕んでおり、今後はこうしたロボット研究の分野においても技術的問題だけではなく、倫理的問題をどう解消するかもひとつの壁になっていくと考えられます。
それでは最後に動画をどうぞ。(音声・字幕:英語)
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