インドで増加しつつあるドローン関連事件の意外な背景が浮かび上がって来ました。
インドの空港職員の発表によれば、インド国内で、航空機のパイロットが何らかの物体により飛行を妨げられる事件が毎月6-7件ものペースで発生。
先週発生した以下の空港におけるドローン目撃事件についても、20チーム以上を展開したにも関わらず、未だに操縦者とドローンを特定できていません。
実はこうした空港近辺でのドローン目撃事件の原因として考えられているのが、“結婚式場”なのです。
なぜ結婚式場?
驚きませんか?
結婚式の晴れ舞台の記念写真を空からドローンで収めようと、式場ではドローン操縦士が雇われることが多いのですが、その撮影に用いられるドローンが、ほとんどの空港周辺や航空機の離着陸時のドローン目撃の原因だと考えられているのです。
と言っても空港周辺にそんなに結婚式場があるものでしょうか?
ということでGoogle Mapで調べてみました。
こちらがその様子です。
今回は首都デリーの空港周辺で調べてみましたが、結婚式場でヒットした場所が1件(地図のコメントでハイライトされているところ)。
これ明らかに空港至近ですよね。
他にも空港周辺にはホテルが数多く存在。どれもそれなりに格の高いホテルです。(地図上の赤いマーク)
おそらくこれらのホテルでも結婚式が行われており、式の最後に参列者揃って表に出てドローンで記念写真を撮ろうとしたものが航空機から目撃されていると推測することができます。
実はぼくは一時頻繁にインドのデリーに仕事で出かけていたため、ある程度土地勘はあるのですが、まさか空港周辺に結婚式場があることは知りませんでした。
またホテルは宿泊施設だけではなく、結婚式場としても使われるという点はこのドローン目撃事件という観点からすると意外な盲点かもしれません。
そしてインドの現地メディアの伝えるところによれば、ウェディングの人気ロケーションとなるリゾートは空港の近くにあるらしいのです。
ちなみにインドでは2014年10月にドローンの商業飛行を政府が禁止。2016年4月にドローンの飛行に関するドラフト版の方針書が提示されたものの、未だに一般市民によるドローン飛行は禁止されています。(一般人に対するドローン飛行許可の発行は非常に困難な状況)
リスクを負うフォトグラファーたち
こうした状況にあっても、一部のフォトグラファーたちは違法と知っていながらリスクを負って追加収入のためにドローン空撮を行なっていると、インドの現地メディアは伝えています。
同メディアのレポーターは、デリー市内の何人かのウェディングフォトグラファーに対してデリー空港近くの結婚式会場で撮影をお願いしたいと匿名のインタビューを行いました。
するとほとんどのフォトグラファーは、その場所でのドローン飛行は禁じられているが、追加のコストを支払うことと、一定の条件を加えたのちにドローンで撮影することを受託したというのです。
あるフォトグラファーは、逃走手段としてバイクを確保した上で、夕方の最大40分だけ飛行することができると提案。ただしドローンを使用したと追跡されないために10分ごとにドローンを解体する、一つのオペレーションに対して35000ルピー、およそ500USDを請求すると持ちかけてきたとも言います。
他にも、40フィート(およそ12メートル)以上を飛ばない条件で提示してきたり、ドローンを撮影に使用したということを誰にも言わない条件で引き受けると回答したフォトグラファーもいたようです。
空港のセキュリティ担当はこう述べています。
ドローンや未確認の飛行物体を検知するメカニズムはすでにあるものの、地上でそれを追跡することは非常に困難なタスクだ。追跡チームが現場に追いつくまでに、高速で移動することのできるドローンを捉えるのは至難である。
デリー警察は空港周辺の結婚式場施設に対して、空港のオペレーションを妨げるようないかなる物体の利用を禁じるよう呼びかけを実施。
またこれらの施設に、客に対して周辺でのドローン飛行は禁止である旨を呼びかけるよう依頼をしています。警察では式場周辺のパトロールを実施する他、ウェディングシーズンには式場や客の荷物検査も行なっているとのことです。
インドの空港周辺で増加しつつあるドローン目撃事件。
その意外な原因が浮かび上がるとともに、非常に深刻な事態であるという事実も解明されてきました。
現在はパトロールや検査といった人手に頼る対策を講じているインドの空港・警察ですが、近い将来ドローン探知システムやドローン撃退銃の導入が検討されることが予想されます。
<Source>
http://m.indiatoday.in/lite/story/drones-delhi-skiers-airport/1/1035242.html
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