ドローン飛行に関して、通常どこの国においても規制されているのが、人混み上空、人口集中区域上空でのドローン飛行。
ドローン飛行に際してライセンス取得を必要とする国であっても、人口集中区域での飛行は別途管轄機関からの許可が必要であることが多いです。
理由はセキュリティ上の懸念や安全性への配慮。
セキュリティ上の懸念というのは何らかのテロや危険行為にドローンを使う可能性を思慮してのもので、安全性への配慮というのは万が一ドローンが落下して人や動物、家屋等に危害を加えることを懸念したものです。
上記がまず一般的なドローン事情なのですが、今回アメリカのニュース放送局であるCNNがFAA(米国連邦航空局)から人混み上空、人口集中区域上空での飛行許可を取得した旨発表しました。(2017年10月18日)
この許可には目視外での飛行や夜間の飛行も含まれており、ドローンの商業利用を推し進める重要ファクターになるだろうとして各メディアにて報道されています。
CNNはニュース情報の収集目的でこの許可を取得しており、Vantage Robotics社のSnapドローンを用いて人混み上空150フィート(およそ45メートル)上空まで飛行可能な許可を取得しています。
こちらがVantage Robotics社のSnapドローン。

見てお分りの通り、プロペラの上下と先端がフレームで覆われているので、通常のプロペラ型ドローンに比べると万が一の時の安全性は高いと言えます。
このあたり、CNNが飛行許可を取得するにあたり考慮した点ではないかと推測されます。
また4K映像が撮影できることからニュース素材として映像の解像度には問題ありません。
ドローンは重量およそ600グラム、大きさは35cm x 23cm x 5cmと幅と大きさはDJI Mavicと同等のサイズ。飛行時間は20分ほどです。
CNNの国際ニュース担当シニアディレクターGreg Agventは
“今回の飛行規制の免除は我々のニュース素材収集において非常に実践的で意味のあるものだ”
とコメントしています。
またFAAのディレクターMark Blanks氏も
“全く前例のないユニーク(unique)な取り組み”
と発言。
ぼくはこのUniqueという言葉からFAAの期待と先鋭さを感じ、身震いする思いでこのニュースを読みました。
先述の通り、人口集中区域での飛行には万が一ドローンとのコンタクトが途絶えたり、故障により落下した際のインパクトが懸念されます。しかしながら、こうした懸念とドローンを用いた先進的な取り組みとのバランスした結果であるFAAの承認はドローンの商業利用を加速する賞賛すべき判断と言えます。
大統領演説や国内外重要人物の訪問、その他デモ行進といった活動の様子をより俯瞰的にとらえた映像がニュースで放映され、報道に新しい視点がもたらされることを期待します。
<Source>
https://www.usatoday.com/story/news/2017/10/18/faa-approves-cnn-drone-fly-over-crowds/776873001/