当ウェブサイトの人気連載コーナー「海外ドローン規制シリーズ」。
文字通り海外のドローン規制を日本語で紹介して行く目玉的企画です。
さて、今回はこのシリーズの逆輸入版と言いますか、もし外国人が日本でドローンを飛ばそうと思ったときに、必要な情報は果たして手に入るのか?ということを、自分が外国人になったつもりで検証したいと思います。
最近では外国人が日本で飛行制限区域であることを知らずにドローンを飛ばして問題になるケースも増えていると聞きます。
果たして外国人に対する情報の充実度はいかなるものなのか。
それでは早速見ていきましょう。
まずは日本でドローン規制を管轄している国土交通省のウェブサイトへアクセスします。日本でドローンを飛ばそうと思う外国人も様々な手段を駆使して国土交通省の名前を突き止めることをするでしょう。
国土交通省ウェブサイト
http://www.mlit.go.jp/
サイトの右上に言語切り替えのボタンがありますので、英語に切り替えます。
色々情報のカテゴリが別れています。ドローンが関連するであろう航空関連情報(Civil Aviation Bureau)をクリックします。
すると・・
一気にわかりにくくなってしまいました。。
サブカテゴリ別に情報がまとめられているわけでもないので、これではドローンに関する情報を探すのは一苦労。
そこで、最初の画面に戻り右上の検索窓から”Drone”と検索します。
すると一番最初に”Japan’s safety rules on Unmanned Aircraft(UA)/Drone”という結果が表示されました。これをクリックしてみましょう。
すると詳細が表示されました。背景から始まりUAV/Droneの定義も記載されており、安心感があります。さすが我が国日本!!
飛行が許可される空域の説明もヴィジュアルと共にされており、わかりやすいですね。
飛行は日中に限り行うこと。視界の範囲内で行うことなどのお決まりの規則が記載されています。
実際のウェブサイトみてみたい方はこちらからどうぞ。
http://www.mlit.go.jp/en/koku/uas.html

次に外国人として気になるのが、一体どこで飛ばすことができて、どこがダメなんだ?という点。
読み進めると以下の飛行制限エリアの情報に出くわします。
飛行制限エリアである人口密集区域の定義はリンク先の情報を参照との断り書きがあります。
リンク先は飛行制限区域マップになっており、日本語版と英語版の両方が用意されているようです。
今回外国人がチェックするのはもちろん英語版。クリックしてみましょう。
結果は、、、
惜しい!の一言・・・
地図上の都道府県は英語表記になっているものの、肝心の説明やメニューといった一切の情報が日本語表記のまま・・・
「ナルホド、トーキョー ハ マッカッカ ナンデスネ。キット ドローンハ キンシ サレテイル デスネ。」
というところまでは誰でも予想はつくかもしれませんが、果たしてこの緑の円は何を指すのかはさっぱりわからないでしょう。
勘のいい人がせいぜいきっと空港なんだろうなと気づく程度。
残念ながら、これじゃあ訪日外国人にはわかりにくいでしょうね。ちょっと残念です・・
対策
訪日外国人に対していかにして日本のドローン規制、飛行制限エリアを認知させていくかは今後の課題でしょう。
いくつか取りうる対応策を考えてみたいと思います。
・空港での看板設置、ビラ配り
日本は幸いにして島国ですから、一部の船便を除いてほとんどの外国人は空路で日本へ入国します。ですから空港の着陸ロビーなどにNo Drone Zoneを説明する看板を設置するのは有効でしょう。(オリンピック競技場上空はもちろん、東京や京都などの人口密集区域もNo Drone Zoneであることを明示するために各都市の写真と共に訴えるビジュアル広告が効果的です。)
特に2020年の東京オリンピック開催期間中は空港でNo Drone Zoneについての冊子・ビラ配りを毎日行うくらいしても全然いいと思っています。

こちらも非常にわかりやすいですね。アメリカの大統領就任演説時のNo Drone Zoneです。ワシントン中心部は一切のドローン禁止です。
日本のドローン規制がどんなものなのかを説明するにもヴィジュアルは大切。
写真はシンガポールの例。
やっていいこと、いけないことが全て絵でまとめられており、非常に理解しやすい。
・主要観光地の観光マップへのドローン禁止の言及
玄関口である空港での認知に加え、各観光地での取り組みも必要です。特に東京や京都のような一大観光地では、観光マップにNo Drone Zoneである旨を記載するなどの取り組みが有効です。
例えば京都。
日本人も外国人もだいたい観光ガイドマップだったり、お寺マップみたいなものを持ち歩いていますよね?
だったらそのマップの一角に”京都市のこのエリア(赤枠で囲う)はNo Drone Zoneです “みたいな文言を一言入れてしまうというのはどうでしょうか。これだったら一目でわかりますし、京都を訪れる外国人の多くにリーチすることができます。
京都だったら、各お寺の入り口にだいたいお寺の説明の看板がありますよね。その看板の中にNo Drone Zoneマークを埋め込んでしまうのも手です。
ぼくがニュージーランドを旅した時はそのような場所が多くありました。

・政府(国土交通省)のウェブサイト充実
前述の通り、現状の国土交通省のドローンに関する英語情報は外国人にとって親切とは言えない状況です。2020年に向けてドローン/UAVに関する英語での専用ページを作成するなどの改善は必要でしょう。ぼくの住むタイだって、最近タイの航空管轄当局であるCAATは英語での情報発信に力を入れています。
もちろんCAATのウェブサイトにはUAV(タイではRPA:Remotely Piloted Aircraftというのが正式名称です。)の専用ページが英語であります。

もちろん上記に加えてNo Drone Zone看板の設置は必須です。

いかがでしたでしょうか。
2020年の東京オリンピックに向け訪日観光客はもっと増えることでしょう。
当然日本人が海外旅行に行くときにドローン持っていけないかなと考えるのと同じように、日本を訪れる外国人も日本でドローンを飛ばすことを考えます。
現在でも京都をはじめとする主要な観光地では外国人が飛行制限区域と知らずにドローンを飛ばして問題になるケースが増えています。
<参考: 京都御苑、外国人ドローンに苦慮 無許可飛行が急増, 2017年9月21日>
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20170921000025
不用意に外国人がドローンを飛ばしたことにより、余計な規制が増える。そういった状況を防ぐためにもドローンマップの英語版や上記記載の看板設置、冊子配布といった対策はぜひ充実させて欲しいところです。
<補足>
ちなみに日本のドローン規制を英語で説明したウェブサイトはニュース記事やブログメディア始めいくつかありますが、以下が体系的にまとまっています。
もし外国人の友達に紹介するのであれば、こちらも参考になるでしょう。
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