好評をいただいている海外ドローン規制シリーズ、今回は初めて中東を取り上げます。
初回の対象国は産油国で有名なサウジアラビア。
サウジアラビアと聞いてみなさんどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。
ターバンと民族衣装に身を包んだ石油王たちが街を闊歩したり、高級車を乗り回したりといった姿を思い浮かべる方も少なくないと思います。
そのイメージに違うことなく、サウジアラビアは石油の元となる原油の埋蔵量で世界第2位を誇り、世界各国に石油を輸出することで経済的繁栄を遂げた国です。
それでは早速サウジアラビアのドローン事情をみていきましょう。
レクリエーション目的のドローン飛行は禁止
サウジアラビアのドローン規制はGeneral Authority of Civil Aviation(通称GACA)によって定められています。
GACAは2015年12月、全てのレクリエーション目的でのドローン飛行は、サウジアラビア政府から発行された許可なしには禁止する規制を制定しました。
GACAによると規制の目的は空の安全の確保ならびにセキュリティ上の懸念に対応するためのもの。これはドローン規制を敷いている他の国々でもよくみられる一般的な事例と同じです。
また仮にサウジアラビア政府からの許可が発行されたとしても、空港や軍事施設周辺は飛行禁止エリアまたは飛行制限エリアとしてドローン飛行が禁止されています。
王宮や王族の居住エリア周辺もドローン飛行が禁止される飛行禁止エリアに該当します。
これら規制の違反者に対しては最大で1年間の禁固刑並びに500,000 サウジリエル(およそ13万ドル)の罰金の両方が課されます。
13万ドルの罰金という金額は他国のドローン規制と比べても非常に高額です。
それだけ政府がドローン使用に対して牽制しているという姿勢の現れと捉えることができます。
加えて、サウジアラビアがドローンに対して警戒姿勢をとっているのはプライバシー上の懸念もあるようです。
サウジアラビアの住居の多くは伝統的なアラブの建築様式にのっとり、屋上が生活空間として使用されていたり、住居内に家族の憩いの場としての中庭が設けられることが多いのですが、それらは通常オープンエアーで外部との仕切りがないためにドローンからいとも簡単にみられてしまうのです。
GACAではこうしたドローンがもたらすセキュリティ上の懸念やプライバシーの侵害といったリスクに対する警鐘を鳴らしていますが、それでもサウジアラビア国内にはドローンが”おもちゃ”扱いで輸入されるケースがあとを立たないとか。
こうしたリスクに対する指針や対応策がができるまではサウジアラビアのドローン事情は厳しいものとなりそうです。
いかがでしたでしょうか。
今回はサウジアラビアのドローン規制、特にレクリエーション目的使用についての規制をご紹介しました。
実はサウジアラビアは現在観光ビザの発給を止めており、容易に観光することはできません。ビジネスや駐在家族のための家族ビザしか発給されていないのです。
過去には日本人に対しても観光ビザが発給されていたようですが、現在サウジアラビアに観光目的で入国するのは現実には不可能と言えます。
仮にビジネス目的で入国できたとしても紹介した通り、レクリエーション目的でのドローン飛行が禁止されているサウジアラビア。
この国へ渡航の際はドローンは自宅に置いていくのが賢い選択でしょう。
<Source>
https://gaca.gov.sa/web/en-gb/page/home
https://www.thenational.ae/world/gcc/drones-in-saudi-arabia-laws-and-regulations-1.723778
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