海外ドローン規制シリーズ、今回はヨーロッパの中でも南ヨーロッパに位置するギリシャを取り上げます。
ギリシャと聞いて皆さんはどのようなイメージを持たれるでしょうか?
燦々と降り注ぐ太陽のもとで、テラスやヨットのデッキで、白いシャツに鮮やかなブルーや赤のニットを肩から掛けながら昼間から優雅にワインを飲んでいるセレブ達の姿。
パルテノン神殿をはじめとする古代ギリシア時代の数々の遺跡。
最近は財政破綻であまりいいイメージを持たれることがないですが、エーゲ海に浮かぶミコノス島やサントリーニ島など風光明媚な島々を有する豊かな観光資源に恵まれた観光立国でもあります。オリンピック発祥の地としても有名ですね。

そんなギリシャのドローン事情は一体どのようなものなのか、早速以下見ていくことにしましょう。
ギリシャのドローン規制概要
ギリシャでは外国人や観光客であってもドローン飛行が認められています。
しかしながら、飛行にあたってはギリシャの民間航空当局であるHellenic Civil Aviation Authority (CAA)によって定められた規制や飛行ルールに従う必要があります。
またレクリエーション目的の飛行であっても、事前にCAAから飛行許可を取得することが義務付けられていることが特徴です。
ギリシャのドローン飛行では飛行許可が必要
それではまず飛行許可の詳細から見ていきましょう。
以下の条件に当てはまるドローン飛行をする場合は飛行許可の取得が必要になります。
1 ギリシャの税登録番号を保持していないもの
->これは観光客や居住していない外国人に当てはまります。
2 ドローンを飛ばして良いエリアであるFree Fly Zoneでのドローン飛行を計画しているもの
(下記のドローンマップを参照)
またFree Fly Zone以外のエリアでの飛行には別途特別な許可が必要であることはいうまでもありません。
3 レクリーエション目的の飛行であること
->例えば観光や個人的な目的での写真・映像撮影などが該当します。
4 地上から160フィート(50メートル)以上の高度を飛行する場合、もしくは操縦者から160フィート(50メートル)離れて飛行する場合
これらからほとんどのドローン飛行には飛行許可の取得が必要になることがわかります。
またポイントとしては、地上からの高度50メートル未満かつ、操縦者から50メートル以内の位置でのドローン飛行には飛行許可が不要であることが挙げられます。これは飛行許可の申請書にも明確に記載されています。ドローンセルフィーを撮る程度であれば飛行許可が不要な範囲で撮影可能なのは、素晴らしい配慮だと個人的には思います。

飛行許可の取得方法
飛行許可は以下の手順で取得可能です。また飛行許可を取得した後も飛行エリアから最寄りの警察署に赴いて飛行計画を提出する必要があるなど一手間かかります。
1.飛行許可の申請フォーム記入
まずは個人情報やドローンの情報、飛行場所、時間帯といった情報を以下の申請フォームに記入して、申請先へemailで送ります。申請書にはドローントレーニングの資格証明書や保険の証明書も記入する箇所があることから、これらは必須と考えられます(下記で紹介する飛行ルールにも同様の記載があるため)。もしこれらを保持していない場合は以下の申請先に確認してみることをオススメします。
<飛行許可申請フォーム>
http://www.ypa.gr/en/HCAA_UAS_FLT_request_editable.pdf
<飛行許可申請先>
d4@hcaa.gr
2. 申請承認の連絡
飛行許可が承認されると、CAAからドローンを安全に飛行するための情報がメールで送られてきます。ギリシャのドローン規制をリマインドする内容でしょう。
3. 警察署へ飛行計画の提出
飛行許可が承認されたのち、自身が予定している飛行場所の最寄りの警察署を訪れ、承認された飛行計画(申請フォームに記入した内容)を提出する必要があります。
この際、パスポートやその他の身分を証明するIDなどを見せる必要があります。
4. 規制を理解し、実際の飛行へ
ここまで来れたらあとはギリシャのドローン規制をしっかりと読み込み、理解して実際に飛行するのみです。ギリシャのドローン規制詳細は以下から確認できます。
Hellenic Civil Aviation Authority (CAA)によるギリシャのドローン規制全文
https://dagr.hcaa.gr/docs/HCAA%20UAS%20Regulation.pdf
また商業目的での飛行についても以下へ連絡した上での飛行許可が必要になります。public.relations1@minpress.gr
飛行ルール詳細
飛行許可を取得できたら、あとは実際の飛行ルールにしたがって飛行を行う必要があります。
上記で紹介した規制の中から、重要なものを以下でハイライトして紹介します。
・地上からの高度400フィート(約120メートル)を超えない高度で飛行すること
・空港の中心から8km以内は飛行禁止
・視界の範囲内のみで飛行すること
・飛行は日中に限り行うこと
・人混み上空や人口集中区域での飛行は禁止。駐車場や道路も含まれる。
・悪天候下での飛行は禁止
・ドローンライセンス(特別な場所や条件での飛行許可を申請した場合)と国際保険の証明書(原文ではInternational Insurance Certificateと記載あり)を携帯すること
->ここの保険はギリシャで有効なドローン保険を指していると読み取れますが、一般の旅行保険でも大丈夫なのかは当局に問い合わせることをオススメします。
・操縦者は少なくとも飛行の30分前には携帯電話で連絡可能な状態にあること。また飛行中も連絡可能な状態であること。
飛行許可の取得方法でも説明したように、ドローン保険がないとギリシャ国内では飛行できないように見受けられます。この点は許可取得時の要確認ポイントです。
ギリシャドローンマップを活用しよう
さて、飛行許可を取得した場合も、Free Fly Zoneでの飛行を遵守する必要があります。
CAAからはドローンマップが提供されていますので、どこでドローンを飛ばすことができるのかはこちらのマップで確認可能です。
<ギリシャドローンマップ Drone Aware – GR>
https://dagr.hcaa.gr/
黄色の円で囲われている場所は、空港周辺などの飛行禁止エリアです。また薄い緑で囲われた部分も同様の飛行禁止エリアとなっています。
以上、ギリシャのドローン規制をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
飛行許可の申請から警察署への飛行計画の提出あたりはそれなりの手間がかかるプロセスですが、規制がわかりやすく明確な点はかえって操縦者にとってありがたいというのがぼくの印象です。
特に地上50メートル以下、操縦者から50メートル以内であれば飛行許可不要で飛ばせるのも魅力ですね。
ぼくだったら冒頭で紹介したミコノス島やサントリーノ島といったエーゲ海の島々で撮影をすることでしょうね。
それでは最後にエミレーツ航空とボーイングによるギリシャのドローン映像でお別れとしましょう。
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