世界最長の在位君主エリザベス女王が統治する国イギリス。
ウィンストン・チャーチル、シャーロック・ホームズ、デイビット・ベッカム、ジェームズ・ボンド。フィクション、ノンフィクションを問わず数々の著名人を輩出してきた国イギリス。
ロールス・ロイス、ベントレー、アストン・マーティンといった伝統工芸級の超高級車の発祥の地であるイギリス。
経済的にも世界をリードする主要先進国である一方で、長い歴史に裏打ちされた数多くの伝統文化を有する歴史と伝統の国イギリス。
今回はそんなイギリスのドローン規制をご紹介します。
イギリスのドローン規制概要
イギリスではドローン飛行が許可されています。
その規制はCivil Aviation Authority(通称CAA)によって定義されており、大きくレクリエーション目的飛行と商業目的飛行の二つに分けて整理することができます。(下表参照)

本記事では需要が多いと思われるレクリエーション目的について記載します。
イギリスでは機体重量が20kg以下のドローンをレクリエーション目的で飛行する場合、特別な条件下での飛行を除きCAAからの許可取得は不要です。特別な条件下での飛行とは、人口集中区域の150m以内での飛行または1000人以上の集団の上空、さらには操縦者のコントロール配下にない人物や自動車、建造物から50m以内での飛行を指します。また空港周辺などの飛行制限エリアでの飛行も、飛行許可取得の範囲に含まれます。
通常上記のようなエリアはどの国であっても無許可でドローン飛行することは認められておりません。逆にこれ以外のエリアであれば許可なしでドローンを飛ばせるイギリスはドローンに対してオープンな国ということができます。
なお、飛行許可の取得にあたっては、以下の3点をCAAに対して提示する必要があります。
- 操縦能力の証明
詳細については下記ドキュメントの4.7に記載されていますが、本稿では省略します。http://publicapps.caa.co.uk/docs/33/CAP%20722%20Sixth%20Edition%20March%202015.pdf - 希望するフライトタイプの実施手順の作成とオペレーションマニュアルの作成
- 意図しているフライトが安全な方法で行われることを説明するOperating Safety Case (OSC) の提出(フォーマットについては特に記載なし)
3については7kg以下のドローンを人口集中区域で飛行する際は通常は不要
商業利用の飛行許可については本稿では取り上げませんが、以下CAAウェブサイトに詳細が記載されています。
https://www.caa.co.uk/Commercial-industry/Aircraft/Unmanned-aircraft/Small-drones/Changes-to-applications-for-unmanned-aircraft-approvals/
飛行ルール詳細
さて、飛行許可が不要なエリア・条件であってもイギリスでドローンを飛行するにあたっては従うべき飛行ルールが存在します。
ここではここの飛行ルール詳細について確認していきましょう。
- 地上からの高度120mを超える高度での飛行は禁止(2018年7月30日から)
- 目視の範囲内で飛行すること(以下の”FPVについて”を参照)
- ドローンの製造元の指示に従って飛行すること
- 人口集中区域の境界150m以内を含む域内での飛行は禁止
- 1000人以上の集団の上空、さらには操縦者のコントロール配下にない人物や自動車、建造物から50m以内での飛行は禁止
- 空港やヘリポート周辺5kmは飛行禁止
FPVについて
FPVを使って飛行する操縦者の他に第3者が目視により飛行するドローンの追跡ができる場合かつ特定の飛行エリアや飛行高度を除く場合などに限ってFPVを許可するエグゼンプション(例外)が認められています。
詳細は以下を参照してください。
https://publicapps.caa.co.uk/docs/33/1226.pdf
ドローンマップ
最後はドローンが飛行できる場所の確認です。
イギリスではCAAとNATS(イギリスの航空管制局)により作成されたドローンマップが公開されています。
PCで確認できるウェブベースのアプリケーションはありませんが、iPhone、アンドロイドの双方でモバイルアプリが開発されています。
App store
https://itunes.apple.com/gb/app/nats-drone-assist-helping-you-to-fly-safely/id1172916055?mt=8
Google Play store
http://dronesafe.uk/safety-apps/
PCで確認できるドローンマップとしては以下のNo Fly Dronesがサードパーティアプリとして公開されています。
地名での検索もできるので飛行可能な場所かどうかの確認に使用してみてください。
色がかっているエリアは許可なしでの飛行が禁止されているエリアです。
No Fly Drones
http://www.noflydrones.co.uk/
さていかがでしたでしょうか。
一般消費者向けのドローンを飛行する限りにおいては、飛行エリアやルールに従えば特に飛行許可の不要なイギリスはドローンユーザーにとってもやさしいものと言えるでしょう。
ただしイギリス政府は将来的には全てのドローン操縦者に対してドローンを登録させる制度も検討中のようですので、今後の動向には注目する必要があります。
実際にイギリスでのドローン飛行を検討している方はご自身でも最新情報を確認するように努めてください。
<関連記事>
【海外ドローン事情】イギリスでもドローン登録義務化へ
それでは最後に美しいイギリスの風景を収めたドローン映像をご覧ください。
特にウェールズ地方の古城をはじめとした風景は、イギリスのグレーの空と相まって絵葉書のような魅力ある映像です。
<Reference>
https://www.gov.uk/government/news/drones-are-you-flying-yours-safely-and-legally
https://www.caa.co.uk/Consumers/Unmanned-aircraft/Recreational-drones/Permissions-and-exemptions-for-drone-flights/
https://www.caa.co.uk/Consumers/Model-aircraft-and-drones/Flying-drones/?flip=true
http://www.trustedreviews.com/news/uk-drone-laws-2018-3146402
https://www.thecasefarm.co.uk/guide-new-2018-drone-regulations-uk/
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